助成金の申請手続きは、制度ごとの要件や必要書類が細かく定められており、自社だけで進めるには負担が大きいと感じる場面も少なくありません。
このページでは、助成金に関して専門家に相談すべき場面や、相談の際に注意したいポイントをまとめています。

当サイトは助成金制度の正しい理解を目的とした情報提供サイトであり、個別の申請代行や労務相談には対応していません。
必要に応じて、適切な専門家への相談をご検討ください。


1. 専門家に相談した方がよいケース

助成金の申請は、以下のようなケースでは専門家の判断が役に立ちます。

1-1. 労務管理に不安がある場合

出勤簿・賃金台帳・労働条件通知書など、助成金審査で重要となる書類に不整合がある場合、申請が困難になることがあります。
こうした書類の確認は専門家が最も得意とする部分です。

1-2. 要件が複雑で判断が難しい場合

助成金の対象者や取り組み内容は制度ごとに異なるため、自社の状況が該当するのか判断しづらい場面があります。
不支給リスクを下げたい場合は専門家の意見が有効です。

1-3. 書類作成や証拠書類の整理が負担になる場合

助成金は大量の証拠書類が必要となる制度が多いため、本業との両立が難しい場合は専門家への相談がスムーズです。

1-4. 就業規則や規定類の見直しが必要な場合

助成金によっては就業規則の変更が必要となることがあります。
法令に沿った形で整備するには専門的な知識が必要です。


2. 助成金申請を取り扱えるのは社会保険労務士です

助成金の申請に関する書類作成や、申請手続きの代行は 社会保険労務士(社労士)の独占業務 と法律で定められています。

そのため、報酬を受けて以下のような業務を行うことは、社労士以外には認められていません。

  • 助成金の申請書類の作成
  • 提出代行
  • 要件の判断
  • 記載内容の確認・指導
  • 計画書の立案や添削

これらは社労士法に抵触する可能性があり、違法となる場合があります。


3. “パートナー社労士に流す営業”にも注意が必要です

近年、株式会社やコンサルティング会社が「助成金診断」「助成金の無料チェック」などを行い、取り扱った案件をパートナー社労士へ流す形で営業するケースが増えています。

表向きは「紹介」に見えても、実態として

  • 助成金の種類を提案する
  • 要件に該当するか判断する
  • 書類内容を案内する
  • 手続きの流れを説明する
  • 成功報酬を受け取る

などの行為を伴っている場合、社労士業務を“実質的に行った”とみなされる可能性があり、法令上問題となる場合があります。

こうした事業者を利用した結果、トラブルに巻き込まれた例も多く報告されています。

助成金の相談や手続きについては、必ず 社会保険労務士または公的窓口に直接相談することをおすすめします。


4. 相談先として考えられる専門家・窓口

助成金に関する相談先としては、以下の専門家や窓口があります。

4-1. 社会保険労務士

労務管理・助成金制度・書類手続きに精通した専門家です。
助成金に関する相談を行う際のもっとも適切な相談相手です。

4-2. 行政機関・公的相談窓口

地域の労働局、ハローワーク、商工会議所、都道府県の中小企業支援窓口などで助成金に関する相談が可能です。

4-3. 自治体の無料相談制度

自治体によっては中小企業を対象に無料相談や専門家派遣制度がある場合があります。


5. 専門家に相談する際のポイント

5-1. 事前に相談内容を整理しておく

対象となりそうな助成金名や自社の状況を簡単にまとめておくと、相談がスムーズに進みます。

5-2. 労務関連の基本書類を揃えておく

労働条件通知書、出勤簿、賃金台帳などがあるとより正確なアドバイスが受けられます。

5-3. 実施する取り組みの時期を確認しておく

助成金は申請前に取り組みを開始すると対象外の制度が多いため、相談のタイミングも重要です。

5-4. 無料相談と有料支援の違いを確認する

行政窓口は無料で利用できますが、代行や書類作成は有料になる場合があります。
事前に費用の範囲を確認しておくと安心です。


6. まとめ

助成金の申請は制度理解と労務管理が重要であり、不安がある場合には専門家の助言が大きな助けとなります。

ただし、助成金申請の代行は社会保険労務士の専門業務であり、株式会社等による代行や営業活動には法令上の問題が生じる場合があります。

助成金制度を安全に、正しく活用するためにも、必要な場面では適切な専門家への相談をご検討ください。