助成金申請では、必要書類の準備や要件確認よりも先に押さえておきたい重要なポイントがあります。
それは、「取り組み開始のタイミング」 です。
多くの助成金は「申請前に取り組みを開始してはいけない」ルール(事前着手禁止)があり、スケジュールを誤ると申請そのものが無効になる可能性があります。
本記事では、助成金申請を検討する企業が “絶対にやってはいけないこと” を中心に、計画的に進めるためのポイントをまとめています。
1. 申請前に取り組みを開始する
助成金の多くが、「申請(または計画届)より前に取り組みを始めると対象外」となっています。
例:
- 研修を実施してから申請した
- 設備を発注・購入してから制度を知った
- 就業規則改定後に計画届を提出した
このように順序を間違えると、要件を満たさないため不支給となります。
スケジュール確認は最優先事項です。
2. 書類整備ができていない状態で進める
助成金は、
- 出勤簿
- 賃金台帳
- 労働条件通知書
などの整合性が審査の基礎となります。
書類が揃っていない状態で申請を急ぐと、審査段階で不支給になる可能性が高まります。
「要件に合う状態かどうか」 を事前に確認することが大切です。
3. 要件確認をせずに外部業者に任せる
営業代行を行う民間企業(株式会社)の中には、制度要件の理解が不十分なまま勧めてくるケースもあります。
特に次のような行為は社労士法に抵触する可能性があります。
- 要件判断
- 書類作成の指導
- 助成金の診断
申請に必要な確認や取り組みは、公的資料をもとに自社で確認するか、社労士へ直接相談することが安全です。
4. 直前になってから申請準備を始める
締切間近になると問い合わせが集中し、
- 労働局への確認
- 書類の取得
- 社内の調整
が間に合わなくなるケースが非常に多いです。
「あとで何とかなるだろう」と後回しにすると、申請期限に間に合わずチャンスを逃すこともあります。
助成金申請は 最低1〜2ヶ月の余裕 を持って進めることが理想です。
5. 助成金の目的と合わない取り組みをしてしまう
助成金は目的が明確に定められた制度です。
- 人材育成の助成金
- 職場環境改善の助成金
- 正社員転換を支援する助成金
など、それぞれ支援の対象が決まっています。
例:
- 訓練目的の助成金で、教育効果の確認ができない研修を実施
- 正社員化助成金なのに、契約内容が基準を満たしていない
- 働き方改革目的の制度で、設備のみ導入して業務改善が伴わない
目的に合わない取り組みは不支給の対象となります。
6. 助成金申請を計画的に進めるためのポイント
(1)一次情報でスケジュールを確認する
厚生労働省や労働局の公表資料を必ず参照します。
年度によって受付期間が異なるため、最新情報の確認が必須です。
(2)労務管理の整備状況を把握する
助成金は 「帳票3点セット(出勤簿・賃金台帳・労働条件通知書)」 の整備が前提になります。
(3)取り組み開始前に計画を明確にする
対象となる取り組み内容や実施時期を事前に社内で確認しておきましょう。
(4)必要に応じて社労士に相談する
要件の解釈や実務的な書類整備は、専門家に相談することでトラブルを回避できます。
7. まとめ
助成金申請では、“いつ始めるか”が最重要ポイント です。
事前準備が不足したまま取り組みを開始してしまうと、せっかくの制度を活用できなくなる可能性があります。
- 取り組み開始時期を誤らない
- 書類整備は事前に行う
- 要件確認は必須
- スケジュールに余裕を持つ
これらを押さえておくことで、助成金を安全かつ効果的に活用できます。
